「そういや、今日の夜の話」

推測は推測でしかない。

それよりもやるべき事を思い出した。

「今日はないよ」

「は?」

「お兄さん、木登りから帰ってこなかったからねえ、時間もかかると思って私が言っておいたんさ」

「手間かけたな」

「いいんさ。お兄さんは頑張ってるから、一日ぐらい休んでも誰も文句は言いやしないよ」

「これって、休んでるって言えるのか?」

「誰かさんは若いし、加減を知らないからねえ」

「必死みたいな言い方で嫌だな」

「はは、必死が悪いわけじゃないさ。お兄さんは私の事を考えてくれてた」

カメリアは身を寄せきたので、細い肩を抱いた。

「お兄さん、これは必然だったのかねえ?」

「解らない」

「そうかい」

「お互いが納得して関係を持ったわけだし、流れもあるしな」

「じゃあ、流れでいくと、お兄さんは村を出て行ってしまうんだね」

「ああ」

「行っちゃうんさね」

「悪い」

「いいんさ、元々、お兄さんは村に留まる事はなかったかもしれないしねえ」

俺達は日常に戻る。

変わりのない日常を過ごしていくんだろう。

以前のように敵がいるわけでもなく、離れ離れになる事も必須だ。

「朝までは傍にいよう」

「じゃあ、もう一回戦やるとしようかねえ」

「はは、明日の仕事、出来るかな」

「大丈夫大丈夫、若いんだから頑張らないと」

カメリアに口付けすると、もう一度、気合を入れて夜を過ごした。