妖魔03(R)〜星霜〜

話したところで何があるわけではない。

ここまでこれば、話してもいいだろう。

カメリアにかくかくしかじかと経緯を話した。

「お兄さん、波乱万丈さねえ」

「彼女を巻き込んだ事以外は、全て自業自得だよ」

美咲を巻き込んだ事は迷惑以外の何者でもないのだがな。

「達観してるんさね」

「本質を知ったところで何も出来なければ意味がない」

悔しさが蘇り、自然と自分の拳に力が入る。

「それは、考え方の問題じゃないのかい?」

「何も出来ないと思うこと自体が、駄目だって言うのか?」

「駄目とは言ってないさ。ただ、卑屈になっているように見えて仕方ないんさ」

「いつまでも、引きずってちゃ駄目だって、思うんだ。でも、今は」

「お兄さんは、自分を立て直す事の一歩目を歩いている。急ぐ事はないさ。それに、本質を見抜くって事は過ちが何なのか解るって事さ」

「そう、なのか?」

「過ちに気付かず前へ進もうとする者もいる。お兄さんは一歩立ち止まって物事を見つめられるんだ。本当の意味で、どちらが前へ進めるかなんて一目瞭然じゃないかい?」

「カメリア」

俺のために考えてくれた言葉が胸を打つ。

落ち着かせようとしてくれているのか、俺の手を握りしめる。

「お兄さんは、島へ来た事を後悔してるかい?」

「後悔があるとすれば、カメリアに難しい事を言わせたくらいかな」

「そうかい」

俺は島に来た事を後悔していないといえば嘘になる。

だが、自分で決めた以上は、環境を辛いとは思ってはならないのだ。

「カメリアの手、荒れてるな」

カメリアの手をさすってみると、少しカサカサしている。

「そうかい?」

「でも、優しさを感じられる手だ」

「お兄さん、気障だねえ」

「そうかい?」

「はは、似てないよ」

カメリアは、最初の時のように訝しげな顔をする事はなくなっていた。