妖魔03(R)〜星霜〜

「兎さ」

「う、うさぎい?」

あの目がくりくりしてて、ピョンピョン跳ねて、プリチーな見た目の兎だと言っているのか。

「おいしいでしょ?お客人がくる時にしか出さないんさ」

「そうだな」

自分の地域では兎を食べる習慣がなかったせいか、美味しいけど素直に喜べない。

しかし、ティアもチェリーも美味しそうに食べているようだ。

日本の子供達が、兎料理を出された時にどういう対応をとるんだろうか。

あまり見てばっかりいると、余計な事を言いそうなので汁を頂く。

落ち着く味といったらいいのだろうか。

丁度いい塩加減に、甘みも少しある汁。

味噌汁とはちょっと違うようだ。

「はあ、カメリアを嫁にした旦那さんは正解だな。この味で色々な料理を食べられるなんて羨ましいよ」

「そんなに喜ぶなんてね、作った甲斐があったよ」

カメリアも自分の作った料理を口に運ぶ。

「お兄ちゃんって、お母さんの事好きだよねー」

チェリーは口の付近に肉の破片をつけながら、お茶目な事を言い始めた。

「いきなりだな」

「だって、この前、お母さんとくっ付いてた。さっきだってお母さんの事、見てた」

中々、抜かりない奴だ。

「お兄さんったら好奇心旺盛さねえ」

カメリアの気持ちはどうなのかは解らないが、本気ではないと踏んでいる。

「カメリアは美人で人の話を聞いてくれる方だからな、色々な人が好きになるだろうな」

「お兄ちゃんは?お兄ちゃんはお母さんの事、好き?」

明らかに『好き』と言えと視線で訴えてきている。

「好きだよ」

「わあ」

「やっぱり人妻が、アキー!」

ティアには最後まで言わせず、足を踏みつけた。

「でも、お父さんが」

「解ってるさ」

チェリーは父親の帰りを今もまだ待っているようだ。