「そんなの要らない」

「この眼鏡は無印なんですがフィット感は最高なんですよ。それに、あなたが付ければ誰しもが振り向きますね」

彼女の元気のなさは相変わらずですね。

出会った当初は、知性に溢れながら元気さも秘めた模範となる方でしたが、最近は憂いた顔を見せます。

これは、大人の魅力を見せようと努力しているのかもしれませんね。

私も表情を七変化出来るような人物になりたいものですね。

「私が用あるわけじゃないから」

江口さんの手には愛くるしいクマが描かれた封筒があります。

「校門で手渡されたの。さっさと受け取ってよ」

「わざわざ届けてくれるとは、あなたは郵便局で働く資格がありますよ」

「何それ、わけわかんない」

ツンケンした態度を取りますが、今日は女性のみが持つ体に不調をきたす日なのでしょうか。

「すいません。あなたが女性だと言う事を忘れていました」

「は?」

「今日は嫌でも血が滲み出てくる日ですよね?生憎、ハード仕様のサラ〇ーティーを持ってないんですよ」

「何でそうなんの!いいから、受け取ってよ!」

江口さんは手紙を無理矢理前に突き出してきます。

「怒りっぽいのも構いませんが、血が噴出しますよ」

精神安定剤入りのコーヒー牛乳が必要なのかもしれませんね。

「今月はお給料が入って間もないですし、摩耶さんのお洋服は購入してませんから、コーヒー牛乳をプレゼント差し上げられますよ」

「違う!手紙を勝手に捨てたら何をされるかわからないから持ってきただけ!勘違いするのもいい加減にしてよ!」

「感情豊かなのも魅入りますが、少し待っていてください」

「ちょっと!」

あなたの抑止で止まってあげたいのですが、あなたの不安定な精神を整えてあげなくてはなりません。

すれ違う生徒に元気のいい挨拶をしながら、売店にある自動販売機からコーヒー牛乳を入手させていただきました。

ついでですから、ゲルパワー4千もオマケで買ってあげましょうか。