妖魔03(R)〜星霜〜

「お兄さんさ、少し変わった匂いするね」

人間と妖魔の混じった匂いは、島の妖魔なら鼻につくかもしれない。

「カメリアになら、話してもいいな」

「一応は、私の事を信用してくれてるんだね」

「カメリアもそう言ったじゃないか。それが嘘でも本当でも、信用してくれてる者に対しては信用しようと思ってるんだ」

「お兄さん、いつか痛い目に遭いそうさねえ」

「自分で決めた事ならば後悔しねえよ」

それが、誰かと共存するための一歩だ。

「大丈夫、信用していいよ。お兄さんの事を聞かせて」

「俺は、日本という国から来たっていうのは、嫌というほど話したよな?」

「そうさね」

「島ほど殺伐とした世界じゃないんだけど、人間と妖魔の世界に別れてるんだ」

「へえ」

「そこには話せば解る者もいる。だから、人間の男と妖魔の女が子供を産んだ」

「夢物語みたいな話ね。それが、お兄さんだっていうのかい?」

「俺は、人間と妖魔の混血種なんだ」

「通りでね」

「勘付いていたから、別に驚く事でもなかったか?」

「これでも驚いてるよ」

だからといって、わざと驚いたフリなどはしない。

「でも、全てが幸せになるかどうかなんて解らないんだよな」

「そうかい?」

「俺のところはそうだったよ」

「そうかい」

カメリアは黙って俺の話に付き合ってくれている。

「悪い、暗い話になっちまった」

「信用してるなら、気を遣わない」

「ああ」

余計な事を言ってしまったか。

「お兄さん、降りよっか」

「そうだな」