あぁ、そうか。

彼女が黙った理由がわかり、僕はなるべくさらりと聞こえるように答えた。

「由紀が生物好きだったから」

教師になりたかったかどうかは知らないけど、と付け加える。

麻生はこくんと頷いた。

「同じようなものですね」

「何が?」

「私も先生も」

その言葉にほんの少しの憐憫を感じた僕の心は、ぞくりと震えた。

「昼休み、終わっちゃうよ」

いつも通りの声を出そうとすると、喉が不自然に動いた気がした。