「お祖父さんたちは、何て言ってた?」

麻生は少しためらった後、視線を机の一点に集中させ、口を開いた。

「……あの家が由紀を殺したんだ、って」

僕の家が、由紀を殺した。

僕は目を閉じて、深く息を吸った。
外であがる歓声や掛け声が、随分遠くに感じる。

「……質問に答える前に、ひとつ、聞いていいかな」

麻生が体を強張らせたのが、目を閉じていても伝わってくる。

「麻生は、由紀の手紙や写真を目にしたことはあるのか?」

昔、由紀が言った。
相手の言葉が嘘か本当か、まっすぐ目を見ればわかるものだ、と。

僕はまっすぐ、麻生の目を見た。