だから、君に

麻生が小学校に上がった頃から、由紀の手紙はぱったり途絶えた。

「その頃は、特に何も考えていなくて。由紀姉って人の存在は知っていても、会ったことはなかったから」

「……由紀に会ったこと、ないのか」

「ない、です。だから手紙が来なくなっても、たいして気にしていませんでした」

しかし、高校に入ってから、僕の存在に麻生の祖父母は気がついた。

芹澤の再婚相手の、息子だということに。