だから、君に

すっかり弱くなった太陽の光を反射して、水槽のカエルたちの背中がつやつや輝く。

彼らに餌をやる麻生の背中を見ながら、僕は窓際の席に座っていた。

グラウンドから野球部の掛け声が聞こえて、放課後の校内は青春の匂いに満ちている。

そんなさなか、黙々とカエルに餌をやる女子高生、麻生。
なんともシュールだ。

「なぁ」

お前の手首のそれ、誰から貰ったんだ。

そう尋ねようとしたとき、麻生が突然振り返った。

「先生」

「うぉ、何だよ突然」

麻生は僕の目をまっすぐに見た。

「由紀姉は、先生が殺したんですか?」

彼女の顔はいつも通り無表情で、けれど目だけには、緊張の色が浮かんでいた。