だから、君に


由紀と麻生の似ている点として、一番にくるのは無愛想なところだ。

ただ、今朝の海で彼女が僕に放った言葉は、まんま由紀が僕にかけた言葉だった。

麻生がそれを由紀に聞いたのかどうか知らないが、振り向いたときに見た彼女の姿を一瞬由紀と錯覚した僕は、どうやら疲れているのかもしれない。


校庭が紺色の空に覆われ始めた放課後、麻生が職員室まで日誌を届けにやってきた。