「当てはまらない?」
聞き返す。根岸は空のうえの一点に視点を集中させていた。
ちかちかと点滅する光が動いている。
「家族じゃないし、友達って言うには色濃くて、でも恋かと言われたら違うような。好きか嫌いかなら好きだろうけど、何かのきっかけで冷たく突き放すことだってできるかも」
「うーん」
「でもきっとずっと、忘れることだけはないんだ」
僕は彼の言葉を理解しようと、頭のなかを巡らす。
家族でも友達でもない『何か』。
むしろ僕には、その『何か』しかなかったような気がする。
周囲の人間とうまくやることはできる。
教え子にしたって、前田先生にしたって、一定以上の好意も持たなければ、一定以上親しくなることもない。
聞き返す。根岸は空のうえの一点に視点を集中させていた。
ちかちかと点滅する光が動いている。
「家族じゃないし、友達って言うには色濃くて、でも恋かと言われたら違うような。好きか嫌いかなら好きだろうけど、何かのきっかけで冷たく突き放すことだってできるかも」
「うーん」
「でもきっとずっと、忘れることだけはないんだ」
僕は彼の言葉を理解しようと、頭のなかを巡らす。
家族でも友達でもない『何か』。
むしろ僕には、その『何か』しかなかったような気がする。
周囲の人間とうまくやることはできる。
教え子にしたって、前田先生にしたって、一定以上の好意も持たなければ、一定以上親しくなることもない。

