難しい質問だ。
恋に似て非なる、特別な気持ち。

「俺はね、先生」

相変わらずの体勢で、根岸は首を曲げ夜空を仰いだ。

冷たい空気のおかげか、空も透き通った黒いガラスを張り詰めたように見える。

「自分っていう人間を真ん中に置いて、その周りにはたくさんのひとがいて、そういう周囲って、だいたい分類できるじゃないですか」

「分類?」

「そう」

びゅう、と風が吹き付けて、僕はコートの襟をしっかり合わせ直す。

根岸は気にする風もなく、視線を空にぼんやりと投げかけていた。