生物室には再び沈黙が訪れる。

麻生が箸を動かすたびに聞こえる、小さなプラスチックの衝突音。

それを聞きながら、僕はぼんやり外を眺めた。

しばらく海に出ていなかったな、と不意に思う。
夏も終わり進路指導に関わる仕事も増え、このところ慌ただしかったからだろうか。

いや、それだけではない。
きっと僕のなかの何かが、この半年で少しだけ、形を変えた。

その小さな変化は、僕が海に行くことを拒ませる。

思い出したくないから?

だとすれば、なぜ。