「もう、……決めたんです」

気持ちを静めるように深く息を吐いた後、ゆっくりと荒川はそう告げた。

僕も彼の父親も、ただ黙って荒川の顔を見つめる。

力強い瞳は、もうそれ以上何も語る必要はないかのように、揺れることなく落ち着いた光を放っていた。

教室にはグラウンドの野球部から放たれる、若々しい怒号が時折流れている。

僕は小さくうなずいてから、用意しておいた明青大学の受験要項を二人の前に並べた。

手続きについて説明している間、僕はふと、一週間後に控えた麻生の面談のことを思い、頭に少しの痛みが走った。