17年前――


小さいけれど、
ひとつの会社を立ち上げた男と、綺麗な女性の間に産まれた男の子。


名前は修司と名づけられ、
大切に育てられた。


しかし、
修司が三歳になった頃、社員の不祥事で会社は取引先にも、客にも目にかけられず、あるのは借金のみだった。


「修司」


修司の母が修司を呼ぶと、
修司は母のもとへ駆け寄った。


「いい?修司。もし私とお父さんになにかあったら、皆川達弘さんの所に行きなさい」


悲しそうな顔をして、そう言った。


「なんで?」


「アンタの本当のお父さんだからよ」


修司はわけも分からず、
ただボーッとしているだけだった。



その後しばらくして、
家は炎に包まれた。






「おい!おい!
大丈夫か!?」


修司を呼ぶ大きな声。
修司は目を覚ますと、目の前には若くて怖そうなお兄さんがいた。


場所は、病院だった。


修司は目をこすり、見た事の無いお兄さんを不振に思った。


「おにいちゃん…だれ?」


「俺?俺は皆川達弘。
そんな事より大丈夫か?火傷とか、してないみたいで良かったな。」


修司は火傷も傷も一切付いていなかった。
きっと母が守ってくれていたんだろう。


「おかあさんと、おとうさんは…?」


修司がそう言うと、
達弘は瞳に涙を浮かべた。