それから5日後。






「これはこれは」

「……………」






泉の前には幼い少女がちょこねんと座っていた。



「…人の子」

「なーにー?」

目の前の小さな生き物は屈託なく返事をする。

「何故この地へ来た」




少女はしばらく固まる。

王はただ返答を待つ。

メイスフォールはそれが思考中であることを悟る。






やがて「んー」と言う唸り声で口を開く。




「んとねー?んとねー?
おはなばたけにいてねー?
鳥さんがねー?おうさまのところこいっていったのー」

「貴様がこやつと話した内容なぞ知っておる。
何故この森に留まる気になったのかと問うておる」

あどけない顔で眉を寄せる少女を見兼ねメイスフォールがひっそりと口添えする。




「この娘は森に入る以前の記憶を失っておるようでございますな」