自分が答えられるのが嬉しかったのか、少女はぱっと顔を輝かせた。





「私、ライア!こっちはメイスフォール!」






…名前を聞かれたのだと思ったらしい。


続けて「あなたは?」と聞く笑顔の無邪気さに面食らって、つい彼女のペースに流される。





「…リン・リカルド。」

「じゃあリンねっ」






ライアの笑顔は傷の痛みすら気にならなくなるくらい可憐で、透明だった。






「ちょっと待っててねっスープを持ってくるからっ」



そう言うとライアは座っていたメイスフォールの羽と共に僕の視界から消え、やがて足音は遠のいていった。





「我らが花君(ハナギミ)は少々抜けていてね。今の質問はこちらで答えよう。」 



未消化な答えにどうしようかと考えていると、頭上から愉快げなメイスフォールの声がした。








「ライアはこの森に突如として迷い込んで来た幼子だった。」


とつとつと、メイスフォールはライアの事を語り出す。
その声は、耳に心地良くて、彼が人ならざる者だと言う事に意識が向かなくなった。
まぁ、僕もあまり変わりはないのだから元々気にはしていなかったのだけれど。