渇いた舌を無理矢理動かしなんとか声を搾り出して聞く。

するとライアという少女は何故か少し困った顔になった。


怪訝に思っていると、こちらに顔を戻した彼―この羽毛とよくまわる首から察するに梟だと思われるが、くちばしのあるはずのところには鷲鼻、その目は大きさはともかくも人間の眼球だった―が代わりに答えた。

「ここは『忌嫌(イケン)の森』。我らは『聖なる森』と呼ぶがね。最寄りの人里ヘリスィキナールからおよそ3050km。『羽付き』の少年、君の落下地点から5kmの場所だ。」


















…『忌嫌の森』 
 
この国の南東に広がっている広大な魔の森。

未知の生物が棲み、かつて森に入り込んだ700万の国の開拓軍を全滅させたという森の主がいて、迷い込んだら二度と帰ることは出来ないとされている。











なるほど、さすがの『あいつら』も追ってこれないわけだ。









しかし、そうなると別の疑問がわいてくる。
僕は視線を傍らに戻した。

「君は…?」

そう、かの魔の森に、何故彼女が、しかもこの森の者と共にいるのか。