サナギから羽化したばかりの蝶のように、
卵から還ったばかりのヒナのように、
紅く光る翼のようなそれはいびつに、不穏にうごめいている。
よく見ると、それはライアの小さな背中から溢れかえるようにして生える無数の触手のようだった。
「うっ…」
動く血管のように一定のリズムで拍動するそれに、吐き気を覚える。
ゆったりと、ライアは血溜まりの中から立ち上がる。
気付くと、手が震えていた。
身体が動かない。
表情の消えたライアはゆっくりと歩を進める。
こちらの近くを通る際、その触手の一部が近付いてくる。
そしてリンの足元に倒れている屍を持ち上げると、首の切断面に一気に群がった。
グチャグチャ……ッ
「ぅ…あ……」
鎧を伝って大量の血が溢れ出す。
思わずリンが後ずさる時には、鎧がガシャリと音を立てて血に沈んだ。
食事を終えた触手がリンを見た。ような動きをした。
既にライアは森の中に入って行ってしまった。
母を求める赤子のように、拍動する触手が手を伸ばす。
身体は、痺れたままだった。
何処かで唄が…
ザザザッ!
「リン!!」
「何ぐずぐずしてんだい!!!?」
卵から還ったばかりのヒナのように、
紅く光る翼のようなそれはいびつに、不穏にうごめいている。
よく見ると、それはライアの小さな背中から溢れかえるようにして生える無数の触手のようだった。
「うっ…」
動く血管のように一定のリズムで拍動するそれに、吐き気を覚える。
ゆったりと、ライアは血溜まりの中から立ち上がる。
気付くと、手が震えていた。
身体が動かない。
表情の消えたライアはゆっくりと歩を進める。
こちらの近くを通る際、その触手の一部が近付いてくる。
そしてリンの足元に倒れている屍を持ち上げると、首の切断面に一気に群がった。
グチャグチャ……ッ
「ぅ…あ……」
鎧を伝って大量の血が溢れ出す。
思わずリンが後ずさる時には、鎧がガシャリと音を立てて血に沈んだ。
食事を終えた触手がリンを見た。ような動きをした。
既にライアは森の中に入って行ってしまった。
母を求める赤子のように、拍動する触手が手を伸ばす。
身体は、痺れたままだった。
何処かで唄が…
ザザザッ!
「リン!!」
「何ぐずぐずしてんだい!!!?」