「ウェイザム!ウェイザム!
ヒト攻メテ来タ!!
ヒト攻メテ来タ!!
羽付キ、タクサン!!
火事ダ!!火事ダ!!」




















どこかで、スポゥケィのけたたましい声が聞こえた気がした。



ハァッ……ハァッ………





ライアの手を引いて、彼女の目の前をリンが走る。

リンの背には生々しい4筋の傷。
先程の黒い羽付きに付けられたものだ。


背後からは、多く増えてくる人の気配。




ライアの中で、何かが目を醒まそうとしている。








ダメ…

何が?
ワカラナイ

まだ…駄目……







焼けるような喉と肺が苦しい。


見上げると差し込んでくる木漏れ日とその向こうの青空が揺れていた。
















城が、本格的に森に攻めいって来る。



「愚かしい人間どもめ…」



ある泉のほとりで、銀髪の吸血鬼が憎々しげに吐き捨てる。



「主が危ない!!」
「あんた達リンの所へ行くよ!!」




6匹の猿が、大きな黒豹が動く。




闇からその音を聞く梟は目を閉じ、玉座に座る王は、静かにその唇を噛んだ。