あぁ…
と、リンの口から出た溜息に近い呟きはライアの耳に入る前に土の香りに満ちた空気中に霧散する。
『お前が生まれて来なければ』、
最初に言われたのはいつの日だったか。
『生まれてさえ来なければ』、
最初に思ったのはいつの日だったか。
込み上げてきた激情が溢れる姿を見られたくなくて、腰の羽で自身を隠しても、隠せなかったその低い鳴咽は、
大気を通って、
ライアの鼓膜と、
未だひどく未発達なライアの胸の奥を、
確かに震わせた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…