「行きたい所…?」

「うん。
人里に近いからメイスフォールだと見つかりやすくなってしまうの。それに…」




そこで一度言葉を切ってライアはまっすぐにリンを見つめた。





「せっかく会えたのに、離れるなんて寂しいもの。」



照れもなく、臆面もなく真摯な眼差しで彼女はきっぱりと言った。




「リンと話しているととても胸が温かいの。
メイスフォールみたいな森の皆と話している時とはちょっと違うの。」



自分より少し幼いだけの、それでも言葉を知らな過ぎる少女のつたない言葉が、麻痺していたリンの中をじんわりと、しかし急速に温めていた。
















「だからね?私リンがいなくなったら、嫌なの。

朝起きた時に1番に『おはよう』を言いたいわ。
『おやすみ』だって、リンに言うのは私が眠る直前が良いの。」