「もう少し、頑張れ」






意識の彼方から声が聞こえる。
不思議と、崩れ落ちそうな意識が持ち直されてくる。


嗚呼、
これこそが言葉の力。

言葉を持つ事で生まれた"感情"というものなのだろう。




私は張り付いて動かない瞼を無理矢理に動かし目をつむった。

眼球に乾いていた血がこすれ、ガサガサと引っ掻いた。


彼が何かをする気配がする。
それに呼応するように森がざわざわと息吹を取り戻す。

私はひたすら、生命の維持に尽力した。

















「さぁ、起きるんだ」

















痛みの消えた体に、瞳に、ひしひしと実感が満ちてくる。






誇りを持ち直し、再び活力を取り戻した森。


私の忠誠を誓うべき者が現れた。











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