「花君、お初にお目にかかる」



ひとしきり再会を喜んだ二人の元に大きな黒い影が落ちる。


「お噂はかねがね」
「私を知ってるの?」


きょとんと問い掛けるライアに答えたのは黒い巨体の足元、赤い毛を持つ6匹の猿の中の一匹、たてがみのような金毛を持つ猿だった。

「あんたはこの森の王に愛された唯一の人間だ。知らない奴ぁいるわけがないよ」

他の猿達もやかましく騒ぎ立てる。
自身の足元を見下ろしていた黒豹はその青紫の瞳をライアに戻した。



「我が名はクロスメイアス。
リン・リカルドを主と定めた石帝なり」

続いて金毛の猿達が駆け寄る。

「あたしはアキ。
顔の白いのがナキで同じ顔のがイキ、トキ、セキ、タキ。
アナイトセタって覚えておくれ」



意外にも、と言うべきか。
ライアはぱちんと手を叩き明るい声で言った。


「知ってる!あなたたち!
石帝クロスメイアスとアナイトセタの赤猿族!!」

そのまま続ける。

「メイによく聞いてたもの!」


「あれあれこいつぁ…この子に森の住人表でも作らせるつもりかい?賢者メイスフォール」