すぐに意を得たりと、クロスメイアスが唸る。

「…我らが疑いもしないような事でも、揺らいでしまうと言う事か」
「その通り、その通りさ。ひょっひょっ」

「………よくわからない!」
「「「「わからない!」」」」
「でもそうならあたし達ゃどうすりゃいいってのさ」

「何も」

愉快さとは少し違う穏やかさで言ったクルテッドの言葉に一同は首を傾げる。
老いた鍼ネズミはゆったりとリンを見守る。

「なぁんにも必要ないよ。ちゃあんと、伝わっているからね」


悪夢から介抱されたリンの目元から流れた一筋の雫が、音もなく雑草の茂った大地に落ちて行った。