B L A S T


やがて決着をつけたのはイツキの華麗な回し蹴りだった。

それはガヤがよろめいて前屈みになったときに攻撃され、倒れたガヤにテツが十秒カウントしてもその体は起き上がることはなかった。


「ウィナー、イツキさん!」


地響きが唸るほど歓声が響き渡る。

ガヤは横になったまま、悔しそうに唇を噛みしめていた。


「ああくそ!やっぱイツキは強えな!」


イツキは笑みを浮かべながらガヤの隣に腰を下ろした。


「たまたま運が良かっただけだ。お前、腕上げたな」

「褒めてんのかよ、それ」

「褒めてるんだよ」


チッ、とガヤは舌打ちを鳴らして上半身を起こした。


「今日だけは絶対に勝ちたかったのによ」


テツが持ってきたTシャツを着るイツキを口を尖らせて恨めしそうに見上げると彼が振り向いた。


「彬」

「んだよ」

「賭けのことだが、まだしばらく総長代理頼まれてくれないか」


ガヤは眉をひそめる。


「…どういうことだ、それ」

「お前、俺に言いたいことないか」

「言いたいこと?」

「今はまだお前が総長だ。リーダーの命令は絶対なんだろ」

「…イツキ、お前」

「言えよ」


ガヤは勢いよく立ち上がると、イツキに向かって指差しながら強く言い放った。


「手術受けろ!んで、ぜってえ帰ってこい!」


ふっとイツキは妖しく笑う。


「了解。俺がいない間、ここを頼む」


今度は歓喜の叫びが沸き上がる。

楓は喜びのあまりジュンに抱きついた。


「よかったね、楓さん」


うん、と何度も頷く。

本当によかった。

よかった。
本当に。

これで助かるってはっきり決まったわけじゃない。

それでもイツキが決心してくれたことがとても嬉しかった。