外の気温と人の熱気で額に汗が滴り落ちる。
テツがライターを差し出した。
真っ赤に燃える火は少しずつ煙草をじりじりと焼き尽くしていく。
灰が落ちれば始まりの合図。
メンバー全員が緊張した面持ちでそれを見つめていた。
「ついに始まるぞ。天下の二人のタイマンが」
楓は静かに目を閉じた。
ーーどうか、二人が無事でありますように。
そして時計の針が五時を差した時、灰が落ちた。
わっと声援が上がる。
ガヤはイツキに接近したと同時に、顎を狙って下からすくい上げるようにパンチを打った。
イツキが一瞬だけよろめいたが、すぐに立て直してガヤに蹴りを入れた。
汗と血がとばしる。
楓は見ていられなくて目を閉じた。
あの日もそうだ。
イツキとセイジが闘っていたときも、何度顔を背けたか。
やっぱりこういうのは苦手だ。
「楓さん」
すると見兼ねたジュンが目の前にしゃがんで楓を見上げた。
「ちゃんと見てあげて。もしかしたらこれが最後になるかもしれないから」

