気が付けばあの日から二週間が過ぎていた。
鉄柱の下敷きになって重傷を負ったものの、すぐに病院に運ばれて手術をしてくれたおかげでなんとか楓は命を取りとめた。
足は複雑骨折をしていてギプスを巻いているが、あと二ヶ月もすれば立って歩くことができるそうだ。
それにしても、と楓は左手を眺める。
一体あれはどこからどこまでが現実で夢だったのだろう。
ーー楓。
少なくともあの声のおかげであたしは助かったことだけは覚えている。
いつまでも左手を真夏の太陽の空に掲げていると、後ろのベットで洗濯物を畳んでいた母があたしを呼んだ。
振り向くと母はすでに鞄の中を整理して帰る準備を始めていた。
「お母さん仕事に戻るけど、また明日も来るからね。あんたもぼーっとしてないで勉強ちゃんとやりなさいよ。夏休みの課題、まだ残ってるんでしょ。後で泣かれてもお母さん、今年は手伝わないから」
「はいはい。分かってるよ」
楓はうんざりしながら答える。
どうせならこのまま入院していたい。
そうすれば課題なんかやらなくてすむのに。
「あんたはそう言っていっつもやらないんだから。困るのはあんたなんだからね」
「うるさいなあ。もう仕事行きなよ。時間じゃないの」
あっ、と母は腕時計を見ると足早に病室を出た。
と思ったら戻ってくる足音がして振り向くと、母が扉の向こうからひょっこりと顔を出していた。
「そうそう、あんたちゃんとお礼言っておきなさいよ」
えっ、と楓は首を傾げる。

