ふと、左手に温もりを感じた。 どこか懐かしくて、優しい温もり。 これは。 これは、誰のだったか。 ーー楓。 これは誰の声だったか。 ーー楓。 優しく包み込むような、その声。 ーー楓。 誰かが、あたしを何度も何度も呼んでいる。 ーー頼むから。 誰かが、泣いている。 ーー俺を独りにするな。