その時だ。

ミシ、と何かが軋む音がしたのは。


ーーえ…?


見上げると天井まで積み込まれたアルコール瓶を支えている鉄柱がぐらりと揺れた。

さあ、と背筋が凍る。

おれはここに来るときに自分が言った言葉を思い出していた。


ーーこれは倒れられたら、一発だな。







「…神様がいるとしたら、そいつはどうしても俺を殺したいらしい」


えっ、とイツキに目をやった時にはおれはもう遠くに突き飛ばされていた。

イツキが妖しく、微笑む。





「じゃあな、彬」







鉄柱が倒れる。

アルコール瓶が次々と音を立て、一瞬にしてそれらはイツキを巻き込むように崩れ落ちた。