「それってイツキさんが負けるかもしれないってことスか?」
とテツ。
「…いや」
「イツキさんなら大丈夫スよ!だってイツキさんは強いスから」
メンバー全員が頷いていた。
おれだって事情は知らなかったらメンバーと同じ気持ちだ。
だけど万が一のこともある。
このまま隠し通すのは無理だとおれは判断した。
「皆に話してえことがある」
メンバーと向き合い、頭を下げた。「まずは謝る。黙ってて悪かった」
戸惑いの声。
「な、なんだよ。突然…」
「本当のこと言うとよ、イツキは今喧嘩なんかできる状態じゃねえんだ」
カズが眉を顰める。
「…どういうことだ」
「イツキは……病気なんだ。本当はもう喧嘩なんかできる体じゃねえんだよ」
メンバーの間でどよめきが起こった。
「…は?イツキが病気?」
「冗談だろ」
おれは首を振って言った。
「おれだって嘘であってほしいって何度も思ったよ。だけど、そうじゃねえんだよ」
それからおれはあの海でイツキに打ち明けられたことをそのまま説明した。
話し終えたときにはメンバー全員が絶句していた。
皆が信じられないといった表情だ。
いきなりこんなこと聞かされてもすぐに信じることは難しいだろう。
無理もない。

