拳が宙を切る。
イツキは下に屈んで、セイジの拳を素早く避けた。
そしてセイジのみぞおちにカウンターを入れようとする。
しかしそれはあっけなくかわされた。
セイジの足がイツキの頭を狙う。
とっさに両手で受け止める。
だが、セイジはその隙を狙ってイツキの腹に蹴りを入れた。
「う…」
とイツキがよろめく。
しかしセイジは無情にも止めることはせず、チャンスと言わんばかりにそのまま拳を振り上げた。
骨の当たる音が響く。
イツキの唇が真っ赤に染まった。
「…イツキ!」
やっぱり本調子じゃないんだろうか。
いつものイツキと比べて、切れが悪いような気がした。
「どうしたんですか、イツキさん。まだまだこんなものじゃないでしょう」
セイジはなりふり構わず、イツキを殴りつける。
ーーくそ!
いくらセイジがイツキの病気のことを知らないといえ、あれはひでえ。
ついにイツキが地面に膝を下ろした。
はあはあ、とその肩は激しく息を上げている。
「おいおい。イツキ、大丈夫なのかよ」
タクマが心配の色を隠せないでいた。
テツもカズもだ。
おれは生唾を飲み込み、小さく呟くように言った。
「…もし、イツキが倒れることがあったら、その時は引き上げるぞ」
えっ、とメンバーの視線がおれに集中した。

