B L A S T


ずっと気にはなっていた。

イツキに本当のことを聞かされたあの日から、おれは楓と会っていない。

というよりおれが避けているのだが。

きっと今会えば追求されることは目に見えているからだ。


――もうここにも来るな。


あいつのことだ。

ああは言ったものの、素直に聞き入れるようなやつじゃないことをよく知っている。


「…いや」


少しの沈黙の後、イツキから意外な答えが返ってきた。


「楓にはもうここへは来るなと俺からも言っておいた。それからは来ていない」


おれが驚いていると、イツキは小さく笑みを浮かべた。


「お前の気持ちは分かってる。今はセイジの件もある。俺だってこれ以上楓を巻き込みたくない。だから心配するな」

「イツキ…」


チャリッ、と金属が重なる音がした。

イツキがポケットの中から取り出したのは星屑のネックレスだった。

あれは確か楓が身につけていたものだ。


「これでいいんだ。俺にとっても楓にとっても」


そう言ってネックレスを見つめるイツキの横顔がどこか寂しそうに見えたのはおれの気のせいだろうか。

おれは複雑な気持ちだった。

もしかしたら、イツキは。

いや、イツキはきっと。


「イツキ。お前、楓のこと…」