「どうして目を合わせてくれないんですか?」
「…」
「どうしてあたしから逃げるんですか?」
「…」
「…あたしのことが、嫌いだからですか?」
イツキの柔らかな髪が風で揺れ動く。
彼は口を閉ざしていた。
黙ってケータイを拾い、パールホワイトの車に向かう。
楓はめげずにその背中に声を投げかけた。
「イツキさん!ちゃんと答えて下さい!」
ふいに、イツキが勢いよく振り返る。
驚いて目を丸くする楓に彼は冷たく言い放った。
「それが迷惑だと言っているんだ。俺のことは放っておけ」
ズキン、と胸が痛む。
どうして。
「ほ、放っておけません」
今まで優しくしてくれたのに。
どうしてあたしをそんな目で見るの。
「イツキさん…」
「帰れ」
変わることのないイツキの冷たい態度。
どんなに願っても、彼は手を差し伸べてはくれない。
あたしはあの温もりを感じたいのに。
「二度と、俺の前に顔を見せるな」

