えっ、と江原先生が目を丸くした。 また強い風が資料をさらっていく。 けれど江原先生は黙って楓を見つめるだけで、今度は拾おうとしなかった。 その様子はどこかおかしい。 「江原先生どうかしたんですか?」 「ねえどうして」 「えっ」 白いカーテンが揺れる。 江原先生は言った。 「どうしてあなたが一樹の名前を知ってるの?」