B L A S T


「…でも先生は悲しいな」


ふいに江原先生の表情が暗くなる。

そしてヒマワリを楓の前に持って行くと、


「好きな人のことを話す真田さんはとっても幸せそうだった」


と話した。


「ああ、恋をしてるんだなって先生も嬉しくなった。恋って辛いこともあるけど周りをも幸せにする力もあるのよ。このヒマワリみたいにね」


頭を優しく撫でるその手の温もりはどこか懐かしい。


「あまり難しく考えないで。人それぞれいろんな恋の形があるけれど、大事なのはあなたの好きな人に対する気持ち。その気持ちを決して忘れないで」


きっと恋をしてよかった。そう思える時が来るから、と江原先生はにっこりと笑った。

その笑顔はヒマワリとよく似合っている。


「江原先生…」

「うん」

「ありがとう。ちょっと心が軽くなった」


と楓も小さく笑うと、江原先生も嬉しそうに目を細める。


「そう。よかった」


今はまだ辛いけれど、江原先生の言うとおりいつかこの恋をして良かったと思える時が来るだろうか。

いつかイツキと出逢えてよかった、とそう思える日が来るのかもしれない。

江原先生はヒマワリを花瓶に戻すと、


「私の娘もあなたのような恋をしてるのかしらね」


と呟いた。