「あれ嬢ちゃん!来てたの?」

「タクマさん…」


タクマは忙しない様子で、部屋に入るなり中をきょろきょろと見渡した。


「なあイツキがどこにいるか知ってる?」


どうやらイツキを捜しているらしい。


「それが昨日の夜ここを出て行ったきりで…」


と楓が答えると、タクマは困り果てたように頭をがしがしと掻いた。


「ケータイも繋がんねえし、まいったな…」


その表情に焦りの色が見える。

胸騒ぎがした。


「…なにかあったの?」

「ああちょっとね」


そう言ってタクマはポケットから何かを取り出した。


「実はさっきこんなのが届いたんだ」


差し出されたのは茶封筒。

宛名はイツキの名前が書かれてあり、差出人の名前は書かれていない。

中には便箋が一枚入っているだけで恐る恐る取り出してみると指先に何か粘液状のようなものの感触がした。


「やだ、なにこれ…」


身の毛がよだった。

それは血のりだろうか。

便箋は真っ赤な色で塗りつぶされており、その上には新聞紙を切り取った文字が並べられていた。


――ブラスト死ネ。


一体誰の仕業なんだろう。

いたずらにしては度が過ぎている。