ジュンを問いつめてみようかと考えた。
しかしその考えは一瞬で消え去り、おれはすぐに首を左右に振った。
そんなのは無意味だ。
例えジュンが何かを知っていたとしても、おれはイツキの口から聞きたい。
本人の口から直接聞かなきゃ意味がないんだ。
「なあ、イツキ」
波音が少しだけ激しくなる。
はるか向こうの地平線を眺めながら、おれは小さく呟いた。
「…おれはそんなに役立たねえか」
黒々とした瞳と目が合った。
「お前はいつも一人で抱えこむ所がある。だけど一人でできることなんてたかが知れてる。なんでもかんでも一人で背負い込まねえで、たまにはその荷物預けろよ。おれはたいしたこと言えねえけど腕力には自信があるからな。荷物持ちには持ってこいだ」
おれは裾を捲り上げ、日々鍛えている二の腕の力瘤を自慢気に見せる。
ふっ、とイツキが鼻で笑った。
ここに来て、やっと見せた笑顔だ。
「…まあ、冗談抜きでよ」
おれは呟くように言った。
「おれはお前の力になりてえんだ」
しばらく無言が続いた。
イツキはただ黙って海を眺めるだけで、決してその口を開こうとしなかった。
やっぱりだめか、と諦めかけた時、マナーモードに設定していたケータイがポケットの中で震えた。
取り出すと、画面上に"タクマ"と見慣れた名前。
暗闇だった空はすでに白みがかかっている。
明朝から何の用だろう。
不思議に思いながら、通話ボタンを押した。

