はっと我に返る。

由希は赤くなった頬を押さえながらうつむいていた。


「――あ、ごめんなさい。あたし…」


また感情的になってしまった。

どんなことがあろうと手だけは絶対に出しちゃいけないのに。


「な、なにか冷やすものを持ってくるね」


そう言って急いで部屋を出ようとする直前、


「―――なの」


由希の声がした。


「えっ」


楓は振り返る。

すると彼女がこっちを睨んでいた。

その鋭い眼差しに思わず怖じ気づく。


「あなた目障りなの…」


チャリッ、とネックレスが揺れる。

彼女は大声で叫んだ。





「今すぐイツキの前から消えて!!」








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