「…その由希って女が集会を中止にすると言ったのか」
とガヤが聞くと、テツはこくりと頷いた。
「イツキさんからの伝言で"急用ができたから今日の集会には行けない、中止にしてほしい"とのことでした」
疑問に思ったタクマが小首を傾げる。
「なんでイツキが直接伝えてこねえんだ」
「急用ができたからその時間がなかったんじゃない?」
とジュン。
「にしたってドタキャンなんてイツキらしくねえ。集会は毎回欠かさず来てたのに」
「そもそもその急用ってなんだろう。集会よりもそっちを選ぶってことはよっぽど大事な用事なんだ」
長い沈黙に包まれる。
やがてガヤが大きくため息を吐いた。
「仕方ねえ今日は中止だ。あいつらにゃ悪いが、イツキがいないとまとまるもんもまとまらねえ。集会は延期だ」
結局、その日の集会はガヤの指示のもと、話し合いは行われずそのまま解散となった。
散らばる車やバイクを見送る中ジュンがそっと耳打ちをしてきた。
「楓さんは由希っていう女のことどう思う?」
「…どう思うって?」
ジュンは顔をしかめて言った。
「一兄には悪いけど僕は嫌いだな、あの人のこと」
「どうして?」
「なんとなく。僕の勘だけど、きっと向こうも僕たちのことよく思ってないよ」
「そうかな…。優しそうな子に見えたけど」
「楓さんは甘いなあ。ああいう子に限って、実は中が腹黒かったりするんだよ、絶対」
ジュンにしては珍しく刺々しい言い方だ。
楓はただ苦笑いを浮かべるしかなかった。

