その時、体育館に向かって走っていくテツの姿が見えた。
「おーいテツ!どうした?」
タクマが声をかけると、テツはなにやら慌てた様子でこっちに向かってきた。
「タクマさん藤ヶ谷さん!大変ス!」
「なんだよ、そんなに慌てて」
「何かあったのか?」
テツは切らした息を整えながら話した。
「実はさっき、イツキさんがなかなか来ないんで電話したんスよ。そしたら"今日の集会は中止だ"って…」
「中止だあ!?」
ガヤが声を荒げた。
「イツキがそう言ったのかよ」
「それがイツキさんのケータイにかけたんスけど、出たのはその…」
テツは口ごもる。
それから小さく呟くように言った。
「ユキという女でした」
苺色をしたショートボブを思い出す。
ミニスカートのワンピースがよく似合う小さな女の子。
あたしと同じ星形のネックレスをしていた。
「ユキ、って誰?」
何にも知らないタクマにガヤが答える。
「イツキの女だよ」
ズキン、と胸が小さく痛んだ。
気遣ってくれているだろうか。
ガヤが一瞬だけこちらを見たのが分かった。

