「ねえ一兄って進路決まってるの?」
とジュンが思い出したように聞いた。
そういえば、イツキは高校を卒業したらどうするのだろう。
気になって耳を傾ける。
「さあ、おれもよく知らねえ。でもあいつすげえ頭良いから大学に行くんじゃねえかな、たぶん」
とガヤが小首を傾げて答えた。
「そうなんだ…」
ジュンがうつむき加減に呟く。
「来年の春になったら一兄も彬兄もタク兄もカズ兄もみんな卒業しちゃうんだよね。BLASTも今度こそ本当に解散。なんか実感がわかないや」
それを聞いて、楓はなんだか胸の奥でぽっかりと穴が開いた気分だった。
――ただオレらはもう高三だ。いつまでも遊んでいられねえのが現実。どっちにしろ夏が過ぎたら卒業するつもりだった。
いつだかカズの言葉が脳裏を過ぎる。
この夏が終わったら、BLASTに彼らの姿はない。
タクマも。
カズも。
ガヤも。
みんなみんなこの場所を離れていく。
そして、イツキも―――。
「寂しくなるね……」
ジュンの言葉に、楓は小さく頷いた。
「そんな顔すんなよ。解散したって会おうと思えば会えるだろうが」
ガヤが笑ってなだめるが、ジュンはいつまでも浮かない表情でいる。
そして彼の真っ赤な唇が小さく動いた。
「でも一兄は―――」

