出ろ、とイツキの放った一言で無数のバイクを先頭にパールホワイトの車が走り出す。
窓の外の景色が流れ、廃校になった建物がだんだんと遠ざかっていった。
「…ったく、腹でも壊したのかよ」
助手席に座っていたガヤがじろりと睨んでくる。
「もう彬兄。女の子にそんな下品なこと言うものじゃないよ。それってセクハラだよ、セクハラ!」
怒ったジュンがガヤの肩を叩いた。
「ッ痛えなあ。予定が狂って迷惑してんのはこっちだ。だからおれはこいつ連れてくのはやめようって言ったんだ。こいつは昔から気まぐれでコロコロ変わるからな」
はいはい。
気まぐれでどうも悪うござんでしたね。
と楓は窓の外に目を向けたまま心の中で毒気づく。
きっとガヤに女心なんてものは通用しないんだろう。
ガヤはバックミラー越しに言い放った。
「おいイツキ。お前が連れていくって聞かねえからこんなことになったんだぞ」
えっ、と楓は思わずイツキに視線を移す。
「今日は嬢ちゃんにパレード見せてやろうって一番はりきってたんだよ。な、イツキ」
「黙れ」
彼は運転席のタクマを一瞥すると、煙草の煙を吹かした。
その横顔が少し照れているように見えるのは、気のせいだろうか。
楓ははっとする。
そして気持ちを振り切るように頭を振った。
期待なんかしちゃだめだ。
期待したらその分、自分がみじめになるだけ。
でも家に帰りたいだなんて悪いこと言っちゃったかな。
少し後悔していたら、
「ねえ、楓さん。僕がBLASTに入りたいと思った理由知ってる?」
突然、ジュンがそんな事を聞いてきた。

