体育館の中に入ると、幻想的な世界が広がっていた。

まだ夕方なのに中は薄暗く、いくつもののバイクの光が点滅している。

赤だったり、
黄だったり、
青だったり

色は様々だ。

幕の上で重なったそれらの光はまるで虹のようだった。


「みんな何してるんですか?」


ああ、とタクマは答えた。


「今夜のパレードに備えてバイクの整備してるんだよ」


楓は眉をひそめる。


「そのパレードがよく分からないんですけど…」

「まあ祭りみたいなもんかな。今日はめでたいことがあったからそれのお祝いも兼ねてね」

「めでたいこと?」


わあ、と歓声が上がった。

メンバーの視線の先を追うと、幕が上がった舞台の奥でイツキとガヤの姿があった。

こないだまで険悪な仲だったのに肩を抱き合っていて、その親密そうな様はまるで別人だ。

ただイツキの方は少し照れくさいのかはにかんでいた。


――よかった。


楓はガヤとイツキが仲直りしたことが自分のことのように嬉しかった。