「さて、と」
カズが振り返った。
「これからどうする?イツキ」
車内を沈黙が襲う。
イツキは腕を組み、何か考えている様子だった。
「あの連中、"crusher"のメンバーだったな」
タクマがぽつり、と呟く。
「…"crusher"?」
「ここら一帯を仕切ってるチーマーだ。嬢ちゃんも見たろ。骸骨のマークが入ったマスクあの男」
「ああ、ちょっとハイエナに似てる」
ぶっ、とタクマが吹き出した。
「嬢ちゃん言うねえ。そう、その男が"crusher"のリーダーなんだよ」
えっ、と楓は眉をひそめた。
「あの人がリーダーなんですか?」
「そうだけど…。それがどうかした?」
「あの人、あたしに言ったんです。"上"に会わせるからおとなしく待ってろって。あたしはてっきりその人がリーダーかなんかだろうと思ってたんですけど」
「"上"?」
楓が頷くと、タクマはイツキに目をやった。
「イツキ…」
「ああ。大体の予想はついてる」
とイツキは言った。
何か分かったことがあったんだろうか。