今度こそ本当にやばいかもしれないと思った。

だって薬を使って眠らせるような男たちだ。

絶対、ろくな人じゃない。

どうしよう。

早くここから出なきゃ。

でも扉も開かなければ、窓もない。

逃げたくても逃げられない状況だ。

その時、楓ははっとする。

慌ててポケットの中を探ると、それは気を失う前に忍ばせておいた緊急用のケータイだった。


――やった。

これで助けを呼べる!


たった一件しか登録されていない番号はきっとBLASTの誰かに繋がるようになっているはず。

とにかく急がば回れ、だ。

しかし通話ボタンを押して気が付いたことがあった。

そのケータイの画面は圏外と表示されている。


――ついてない。


なんて運が悪いんだろうと楓はうなだれる。

これで唯一の希望は絶たれた。

もしかしたら、あたしは一生ここに閉じこめられたままなのだろうか。

この暗闇の中でたった一人。

ご飯もない。
お風呂も入れない。
トイレも。

テレビだってない。

ここにはなんにもない。

そしてあたしは寝たきりになって、誰にも看取られずに一人寂しく―――――――――――――――――。