B L A S T


さてどうしようか。

このままだと何されるか分からない。

なにせ相手は暴走族。

もしかしたら凶器を持っているかもしれない。
ヘンなクスリ飲まされるかもしれない。
急に殴られたりするかも。

きっと二人は総長に「適当に女子高生でも連れさらってこい」と命令されたに決まってる。

ガヤはそんなことしないけど。

皮肉なものだ。

楓はガヤ以外にそういう人に会ったことがなかった。

しかしこうして思うことは今の楓は学校の連中と同じだということ。

できることなら分かりたくなかったが、学校の連中が楓を避ける気持ちが分かってしまった。

バカガヤに罪悪感。

結局人間は偏見の塊でしかないのだ。

だけど今大事なのは自分自身。

自分の身は自分で守らなきゃ。


「おい、女」

「あ、え、は、はい」


突然呼ばれて声がどもってしまった。

沈黙が痛い。


「…急におとなしくなりやがったけど、まさかこの状況で逃げるなんてこと考えてねえだろうな」


さすが鋭い。

顎が鋭いだけあってカズは勘も鋭かった。


「いえ、そんなことは」


と楓が首を振る前に、カズは身を乗り出して言った。


「いいか。もし逃げ出すような真似してみろ。その細え首に鎖巻きつけてここから下ろして引きずりまわしてやる」


この世のものとは思えないぐらい恐ろしく、低い声。

身の毛がよだつ思いだった。

楓は小さく頷いてゆっくりと背筋を伸ばす。

逃げるのはもう少しあとにしよう。

そう誓った。