「オレらのたまり場。会ってもらいてえ人がいるのよ」


タクマが答える。

楓は思わず眉をひそめた。


「誰ですか、それ」


するとチッ、と舌打ちが聞こえた。

カズがこっちを見て睨んでいる。

あの大きい目に睨まれると凄みが増してタクマとはまた違うド迫力がある。

怖じ気づいた楓が肩をすくめると、カズはまた舌打ちを鳴らした。

なにこのひと。
感じ悪い。


「総長に決まってんだろうが」


カズが声を荒げて言った。

ふ、ふうん。

総長ね。

総長に会うのね。
なーんだ。
総長か。

総長…。


――ソウチョウ?


「総長!?」


車体が大きく揺れた。

どうやら楓の声に驚いたタクマが勢い余ってブレーキを踏んでしまったらしい。

車は交差点の手前で止まった。

幸い赤信号だったからよかったもののひとつ間違えれば大事故だ。


「マジビビッた」


耳を抑えてカズがまたもやこっちを睨んでいた。