しかし、夢はそこで終わった。
 俺の腕は、あの時のように宙にあった。
「行かないと」
俺は勢いづけて立ち上がり、荷物もそこそこにバイクにまたがった。
 首に巻き付けた青いマフラーが、風に乗って跳ねる。
 ただ、走った。自分が、どこに行っているかわからないまま、思うままに走った。
 いや、向かっている場所はわかっている。
 彼女のところだ。
 帰って彼女に拒絶されてもいい。嫌われてもいい。
 彼女といたいんだ。彼女といなくては。
 俺は、彼女の生きた証を残したい。
 そう、それこそが俺が探し求めていたものだった。