静かに自分の席の椅子を引いて座る。

出席番号順の席。

つまり…同じサ行で、桜田くんの後ろであるこの席。

大好きな、席。

早く授業始まらないかな、なんて考えながら私は用意をテキパキと済ませた。


そしてしばらくぼーっとしていると、チャイムが鳴って。

ドキリとした。

…遠くで喋っていた桜田くんがこちらへ帰ってくる。

なんだか恥ずかしくなって顔が隠れるように俯いて垂れる髪の毛で顔を隠す。


がた、と椅子を引く手が見えた。

その手が桜田くんのものだというだけで、ドキドキするの。



(私、変かな……。気持ち悪いかも)



だけどこんなちっぽけな私だから。

こんな方法以外に想い方が見つからないの…。